Classiques japonais avec furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lisez 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 75 586 caractères · 159 écrans
」
「そうだったか知ら。」
「闇屋見たような風だったな。明日また来るだろう。」
「来たら、どうしましょう。」
「どうしようッて。こうなったらお前の心一ツだよ。お前、もと通りになれと言われたら、なる気か。」
「なる気なら心配しやしないわ。なれッて言ったッて、もう、あなた。知ってるじゃないの。わたしの身体、先月からただじゃないもの。」
「わかってるよ。それならおれの方にも考があるんだ。ちゃんと訳を話して断るからいい。」
「断って、おとなしく承知してくれるか知ら。」
「承知しない訳にゃ行かないだろう。第一、お前とは子供ができていても、籍が入っていなかったのだし、念の為田舎の家の方へも手紙を出したんだし、此方ではそれ相応の事はしていたんだからな。此方の言うことを聞いてくれないと云うわけには行くまいさ。」
二人は貸間へかえる道々も、先夫の申出を退ける方法として、一日も早く佐藤の方へ千代子の籍を入れるように話をしつづけた。
次の日、一日一夜、待ちかまえていたがその男は姿を見せなかった。二日たち三日たちして、いつか一ト月あまりになったが二度とその姿を見せなかった。
時候はすっかり変った。