Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もぐら

土竜

佐左木 俊郎

Lisez 土竜 (もぐら) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 991 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

彼には、土の無い生活は想像も出来なかった。

どうしても一番の汽車に間に合いたいからと、市平はまだ夜のうちに開墾場の小屋を出た。

「今度は、いつ逢えるがも判がんねえ。俺も、その辺まで送って行ぐべで……」

梅三爺は、やはり瞼に涙を溜めて、ヨーギとよしは、大丈夫眼を覚まさないからと、市平がとめるのを無理に送って出た。

戸外は朧夜であった。月は薄絹に掩われたように、懶く空を渡りつつあった。村々は薄靄に暈かされ夢のように浮いていた。樹の間がくれに見え隠れする灯さえ、現実のものとするにはあまりにうっとりとしていた。蛙の声はやわらかに流れ、ひとり特殊な音調に鳴く独奏の声もあった。……

市平の心には、昔の思い出が髣髴として湧きあがった。自分の生まれた土地の尊さが、彼の今の心には、不思議な力で神秘なものとされた。彼は、父親の気持ちが幾分、理解することが出来るように思った。

「父! 俺も、小金を蓄めで、二三年のうぢには帰って来るがら、丈夫でいろな、父!」

「汝こそ身体を大事にしろ。知らねえ他国で、病気でもしたら……」梅三爺は、涙に遮られて、言い続けることが出来なかった。

急に元気を失った市平は、朧の月影にみがかれきらめく長靴を曳きずって、力なくなだらかな坂路を下りて行った。