Classiques japonais avec furigana
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もぐら
土竜
佐左木 俊郎
Lisez 土竜 (もぐら) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 991 caractères · 21 écrans
一
灌木と雑草に荒れた叢は、雑木林から雑木林へと、長い長い丘腹を、波をうって走っていた。
茨の生える新畑は、谷から頂へ向けて、ところ斑に黝んでいた。
梅三爺の、一坪四銭五厘で拓く開墾区域は、谷のせせらぎに臨んで建った小屋の背後から続いていた。
今は緑の草いきれ。はちきれるばかりの精力に満ちた青草は、小屋の裏から起こるなだらかなスロープを、渦を巻き巻き埋めつくしていた。青草の中には紅紫の野薊の花が浮かびあがり、躑躅の花が燃えかけていた。そして白い熊苺の花は、既に茅の葉にこぼれかけていた。無理に一言の形容を求めれば、緑の地に花を散らした大きな絨毯であった。そして、開拓されたところは黒々と、さながら墨汁をこぼしたかのように、一鍬毎に梅三爺の足許から拡がって行った。
「父! この木、惜しいな。熊苺の木だで……」
養吉は鎌で、小さな灌木を叩いて見せた。
「ヨッキは、まだそんなごとばり。そんな木、なんぼでもある。」
「なあ、父!」
五歳になるよしが追従した。
養吉は、ちらとよしの方を睨むようにしたが、自分も否定していたと言うように、すぐに惜し気もなく鎌を入れた。