Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちじょう

地上

島田 清次郎

Lisez 地上 (ちじょう) de 島田 清次郎 (しまだせいじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 175 250 caractères · 350 écrans

Aozora Bunko

優婉な三味の音が、静かな夜気に顫えて人々を甘美な夢に引き入れようとするのを、蔽われていた鼓の響が力を潜ませつつ中空に高く踴躍する。長い間二つの音色は戦った。戦いつつ、微妙な悲壮さは悠々たる力に充溢する。音楽はやがて急湍のように迫り、二つの音調は急流のように争いつつ、いつしか渾一に融合するうちに、いつともしれず大鼓の海鳴りの音が新しい根拠をもって轟いて来た。三味の音は次第に弱められてしまった。

「は、おえ、よおお!」

ああ、一切を越えて迸る大音声よ、雄大な大音楽よ、もう三味の音は聞えずなった。勝利者の凱歌の大狂熱、雄大な、豊かで、荘厳な音調はひとり勝利の道を進んでゆく。ああ、長い長い苦しみの戦いだった。今、それに勝ち得たのだ。

この燃ゆる鼓の音楽は、土蔵の裏手の座敷で、静かに独り子の寝顔を見戍りながら縫物をしていたお光にも響きわたった。お光は三日も冬子に会わなかった。お光は冬子に飢えていた。飢えた霊に熱烈な音楽が響いたのである。お光は縫物を止めて、暗いじめ/\した廊下伝いに、土蔵の前の裏梯子の下につくばって一心に聴きとれていた。音楽の一つ一つのリズムがお光の心にしみ入り、何とも知れぬ感激が火花のように身内から湧いてくる。