Classiques japonais avec furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lisez 夜明け前 (よあけまえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 105 172 caractères · 206 écrans
仏餉、献鉢、献燈、献花、位牌堂の回向、大般若の修行、徒弟僧の養成、墓掃除、皆そのとおり、長い経験から、ずいぶんこまかいところまでこの人も気を配って来た。たとえば、毎年正月の八日には馬籠仲町にある檀家の姉様たちが仏参を兼ねての年玉に来る、その時寺では十人あまりへ胡桃餅を出す、早朝から風呂を焚く、あとで出す茶漬けの菜には煮豆に冬菜のひたしぐらいでよろしの類だ。寺は精舎とも、清浄地とも言わるるところから思いついて、明治二年のころよりぽつぽつ万福寺の裏山を庭に取り入れ、そこに石を運んだり、躑躅を植えたりして、本堂や客殿からのながめをよくしたのもまた和尚だ。奥山の方から導いた清水がこの庭に落ちる音は、一層寺の境内を街道筋の混雑から遠くした。
こんな静かな禅僧の生活も、よく見れば動いていないではない。大は将軍家、諸侯から、小は本陣、問屋、庄屋、組頭の末に至るまでことごとく廃された中で、僧侶のみ従前どおりであるのは、むしろ不思議なくらいの時である。御一新以前からやかましい廃仏の声と共に、神道葬祭が復興することとなると、寺院は徳川幕府の初期以来保証されて来た戸籍公証の権利を侵さるるのみならず、宗門人別離脱者の増加は寺院の死活問題にも関する。