Classiques japonais avec furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lisez 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 647 caractères · 215 écrans
するとやがて、生身の観音を拝みたくば「大日本国聖武王の正后光明女の形」を拝せよというお告げが下った。見生王は自身かような遠国へ渡ることはとても不可能なので再び入定して祈ると、今度は彫刻師を派遣して光明皇后の御姿を彫らせ、それを拝せよとお告げがあった。そこで王は文答師という名匠をはるばる日本へよこすことになった。文答師は難波津に着いて、この旨を奏上したが容易にゆるされない。ただ皇后御自身の願い――即ちその頃亡くなった母君のために御堂に安置する仏像をつくってくれるならば、望みをかなえようということになって、文答師は皇后の御願とおり釈迦像をつくった。その代り漸く光明皇后を写しえて、三躯の観音像をつくることが出来たという。一躯は見生王のため本国にもちかえり、他の二躯はわが国にとどめた。いま奈良の法華寺に安置されている十一面観音立像は、その御姿であるという伝説である。
むろんこれは伝説であって厳しい考証に堪えないのであるが、しかしこうした伝説の裡には、当時の人々の、光明皇后に対するひそかな憧憬が宿っているのではなかろうか。前述のとおり皇后は無比の美貌であり、云わば天平の美の象徴として思慕の的であった。