Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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やまとこじふうぶつし

大和古寺風物誌

亀井 勝一郎

Lisez 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 647 caractères · 215 écrans

Aozora Bunko

大仏殿はじめ各堂宇殆ど灰燼に帰し、聖武帝御願の大仏もここに終熄したのであった。わずか一夜の出来事である。この伽藍が空前絶後の華麗を顕していたごとく、この炎上もおそらく史上に比なき壮観を呈したことであろう。私は東大寺を訪れるたびに思うのは、天平の威容とともに、それが無残に焼けおちて行った治承のこの日のことである。紅蓮の炎のなかに佇立する諸々の像が、まさに熱火に崩れ落ちんとして、最後の荘厳を現出したであろう日を思う。三百三十余尺の七重塔が火を噴き、大仏殿は焔につつまれ、如来の金色の姿、観世音の華麗な瓔珞、あるいは四天王の朱丹の鎧、それらが炎を映じて、いまを最後と輝き出した刹那は、聖武天皇も想像されなかったであろう。救いを求むる千余人の阿鼻叫喚――「猛火は正う押懸たり」と平家の作者は凄い筆致で語っているが、仏も衆生もろとも滅びて行ったこの地獄の日に、或は夢想だにせぬ浄土荘厳が現出したのかもしれぬ。

佐保山の御陵に眠る聖武天皇ならびに光明皇后のみ霊、中天を焦す炎の渦巻をいかなる御心にて観ぜられたであろうか。御二方の身命を捧げられた大伽藍は、一朝にして滅びて行ったのである。