Classiques japonais avec furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lisez 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 647 caractères · 215 écrans
しかし根本は、仏像をそれが本来在るがままのものとして拝せんとする心を失った点に在るのではなかろうか、私にはそうとしか思えなかった。たとい宝蔵殿であっても、金堂や講堂におけるとひとしい雰囲気を努めて保存しなければならぬ。法隆寺が次第に見世物化して行く罪は誰にあるのか。私は自分も経過した一時期を悲しく思い浮べた。
古寺の美しさは、それが荒廃のまままさに崩れんとして行くところにあるというのは真実だ。荒廃を悲しむ心は誰にでもある。保存や再建を思うのは当然であろう。だがそれに手を加えることの重大さを我々はつい忘れ易い。崩れゆく文物を、崩れるままにしておくべきか、或は補修を加え博物館に陳列すべきか、私にはそういう経験がないが、いつも迷う。これはむずかしい問題である。崩れるままにしておけばやがて朽ち去るであろう。再び人の眼にふれることもない。しかし、掘り出して近代的設備の全き宝蔵や博物館に陳列保存されると、忽ちガラス張の牢屋にとじこめられ、名札を添えられ、写真をとられ、批評され、胴上げされて見世物になり易い。やむをえぬことではあろうけれど、名もない荒寺の奥に千年の塵をかぶってひそむ風情は失われる。