Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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たいしゅうぶんげいさほう

大衆文芸作法

直木 三十五

Lisez 大衆文芸作法 (たいしゅうぶんげいさほう) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 63 833 caractères · 126 écrans

Aozora Bunko

現在は、あらゆる意味で速力を要求している。電車より自動車、自動車より飛行機へと、その他科学の発達はテレビジョンの完成へまで急いでいるのだ。人間は科学に逐われて生活のテンポを速めている。それは亦、当然芸術へも影響する。芸術も亦、その内容形式ともにテンポを要求されて来ている。かの片岡鉄兵君の「生ける人形」(勿論、小説それ自身も現在に適した作品ではあるが、殊に)の新築地劇団の手になるレヴューの形式による劇化が素晴らしい人気を呼んだのもテンポと明快さの故であった。序であるが、菊池寛君の「東京行進曲」の映画化が外国映画を凌ぐ人気の中心になっているのも、その明るさ、明るい哀愁のためであると云えるだろう。大衆文芸も今や、テンポを持たねばならない。テンポを速めるといっても、何も無闇に速くすることを意味してはいない。緩急度を得て、しかも全体から見て場面のあきない変化と、軽快な速力で疾駆する爽快さを、読者に与えることである。

さて、以上述べ来ったように、所謂大衆文芸に於て、現在最も欠乏しているのは、ほがらかさと涙であろう。恋愛と剣戟とそれに今講じたような要素を巧みに織雑ぜるならば、現在のままでも大衆物はなお永続性をもっているに違いない。