Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

てんしゅかくのおと

天主閣の音

国枝 史郎

Lisez 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 941 caractères · 79 écrans

Aozora Bunko

門の戸の開いたらしい音もなかった。と云って裏手へ廻ったようでもない。文字通り忽然消えたのであった。

後を尾行けて来た小林九兵衛は、おやと呟いて足を止めた。どう考えても解らなかった。で兎も角も接近し、其家の様子を見ようとした。変哲もない家であった。ただ普通の百姓家であった。表と裏とに出入口があって、粗末な板戸が立ててあった。二階無しの平屋建で、畳数にして二十畳もあろうか、そんな見当の家であった。屋根に一本の煙突があったが、それとて在来た煙突らしい。

「さて是から何うしたものだ」九兵衛は鳥渡考えた。「本来俺の役目と云えば、住居を突き止めることだけだ。幸い住居は突き止めた。このまま帰っても可い筈だ。……だが何うも少し飽気ないな」そこで彼は腕を組んだ。

と、明瞭と耳元で、こう云う声が聞えて来た。「腕を組むにゃァ及ばねえ。遠慮なく這入っておいでなせえ」

「え」と云ったが仰天した。「さては何処かで見ているな」で、グルリと見廻した。併し何処にも人影が無かった。田面が月光に煙っていた。立木が諸所に立っていた。立木の蔭にも人はいない。

「家の中から呼んだにしては、声があんまり近過ぎる」