Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 681 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

但し、二人共純潔であるにしては、あまりにも若く、そしてあまりにも美しく、周囲の事情と境遇が、あまりにも刺戟的であったことは事実でした。

四日目の朝、形ばかりの食事を済ませると、

「芳江」

「ハイ」

「私はもう帰らなければならぬが」

当然来なければならぬ時が来たのです。大火が納まって、江戸の町々が元の静けさに返ると、伊予守忠弘は、幸いその辺は劫火を免れたという半蔵門外の上屋敷に駆け付けて、病める父左近太夫を見舞わなければならなかったのです。

「又、いつお目にかかれるでしょうか」

「いつでも、お前の望む時来よう、イヤ、それより、明日にもお前を屋敷に引取ろう」

「お屋敷と仰しゃるのは」

「松永町の焼けたのは中屋敷、――上屋敷は半蔵門外にある、高力左近太夫――それは私の父親、私は伊予守忠弘」

「えッ」

何気なくいう忠弘の言葉を聴くと、芳江はサッと顔色を変えました。

「ところで、お前も唯の町人の娘ではないようだ、親は? 兄は? 何んと申す」

「それはあの」

「そして家は何処だ」

「それは申上げ兼ねますが」

「何んという」

それは思いも寄らぬ気まずい別れでした。忠弘の身分が、並々ならぬことは、芳江も大方察していたようですが、それが肥前島原四万石の城主、高力左近太夫の跡取で、伊予守忠弘と名乗られると、俄然として態度を変えてしまったのです。