Classiques japonais avec furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 739 caractères · 23 écrans
フィナーレ
フィナーレ
「わからぬまま私は東京へ帰って来ました。そして、まもなく出張先の外国から帰って来たS君に報告すると、S君は暫らく考えて居りましたが、やがてカラカラと笑って、――それは君、お染婆さんの娘だよ。藤波金三郎はブラジルから帰って来ると、お染婆さんはとうに死んで、母親とよく似たその娘が残って居たのだ、娘には亭主があった、金三郎は娘の顔に母親の昔の俤を見出して、娘の亭主と争ってそれを連れ出し、三十七年前の母親のお染の名を名乗せて小牛田に泊り、その時の満されない恋の遊戯をそのままくり返したのだろう」
Sのこの判断はまことに妥当で、今ではそうとしか考えられませんが、それにしても、藤波金三郎は何処へ姿を隠したことでしょう。そのうちに戦争が激しくなり、外国との交通も絶えて、藤波金三郎の消息を知る工夫も無くなってしまいました。
「平和が蘇った今日、私はもう一度藤波金三郎の行方を捜し度いと思って居りますが、あれから又幾年か経って居るので、踪跡をたぐるのが益々六つかしくなりました。――さて、私の話はこれで終ります。一向奇談らしくない奇談ですが、一体此世の中に起る奇談というものは、科学的に説明の出来ないものは無く、もしそれがあるとすれば、架空の物語だろうと思います。