Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みょうなはなし

妙な話

芥川 竜之介

Lisez 妙な話 (みょうなはなし) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 810 caractères · 10 écrans

Aozora Bunko

すると赤帽はもう一度「では私が旦那様にお目にかかって参りましょう。」と云った。御目にかかって来ると云っても、夫は遠い地中海にいる。――と思った時、始めて千枝子は、この見慣れない赤帽の言葉が、気違いじみているのに気がついたのだそうだ。が、問い返そうと思う内に、赤帽はちょいと会釈をすると、こそこそ人ごみの中に隠れてしまった。それきり千枝子はいくら探して見ても、二度とその赤帽の姿が見当らない。――いや、見当らないと云うよりも、今まで向い合っていた赤帽の顔が、不思議なほど思い出せないのだそうだ。だから、あの赤帽の姿が見当らないと同時に、どの赤帽も皆その男に見える。そうして千枝子にはわからなくても、あの怪しい赤帽が、絶えずこちらの身のまわりを監視していそうな心もちがする。こうなるともう鎌倉どころか、そこにいるのさえ何だか気味が悪い。千枝子はとうとう傘もささずに、大降りの雨を浴びながら、夢のように停車場を逃げ出して来た。――勿論こう云う千枝子の話は、あいつの神経のせいに違いないが、その時風邪を引いたのだろう。翌日からかれこれ三日ばかりは、ずっと高い熱が続いて、「あなた、堪忍して下さい。