Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こをうばう
子を奪う
豊島 与志雄
Lisez 子を奪う (こをうばう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 292 caractères · 80 écrans
「伯父さん、揶揄ってるんですか。」と彼は云った。
「ははは、」と瀬戸は笑い出した。「揶揄われたと思うような心なら、まず安心だよ。然しね、兼子にそんな疑を起させないようにしなければいけない。。それが一番大切なことだ。」
「兼子は僕を信じています。」
「それはそうだろう、夫婦の間だからね。……まあ兎に角、二人で円満にあの子を可愛がるんだね。」
彼は瀬戸と別れてからも、暫く其処にぼんやり立っていた。謎をでも投げつけられたような心地がした。馬鹿々々しかった、さりとて笑えもしなかった。彼は頭を振った。俺は敏子のことは何とも思ってはしない。あの時だって真面目な心の動きはなかったのだ、そう自ら云ってみた。然し……その「然し」から先を彼は無理に頭の外へ逐いやった。
家へ帰ると、彼は兼子の顔にじっと眼を据えた。兼子は彼の方へ寄り添って来た。そして彼の手を執りながら、「あなた!」と一言云った。
これですっかりいいのだ! と彼は考えた。その晩はいつもよりなおよく眠れたような気がした。朝起きると空が綺麗に晴れていた。それを眺めていると、涙ぐましい心地になった。依子、依子! そう心にくり返すことが嬉しかった。