Classiques japonais avec furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lisez 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) de 小出 楢重 (こいでならしげ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 334 351 caractères · 657 écrans
その真夏でさえも、私は印度洋で風邪を引いた事を覚えている、八月の印度洋は毎日梅雨の如く湿気と風とで陰鬱を極めるので、とうとう風邪を引いて笑われた、骨人の悲しみは冷気と陰気にある。
かような訳から私はまた夏を好く以外、すべて温そうなもの、陽気なもの、明るいもの、肥えたもの、脂肪多き女と食物、豚のカツレツ、ストーブ、火、火鉢、湯たんぽ、炬燵、毛織物、締め切った障子、朱、紅、の色などいうものを好みなつかしむ心甚だしい。
従ってその反対なもの即ちすべての陰気、骨だらけの女や万河魚類、すし、吸物、さしみ、あらい、摺れ枯した心、日本服など頗る閉口するのである。
日本服といえば、私は決して嫌なわけではないが、冬において私は日本服を着るのに際して、是非とも厚いシャツ二枚、ズボン下二枚を重ねて着込まなければならないのであるから悲しいのだ、大体和服の下へシャツを着用する事が既に間違っているのだ、袖口から毛だらけのシャツがはみ出している事は考えただけでも堪らない、怪しからず不体裁ではないか。
私は日本服を着る以上は、正式にシャツ類を排斥したいと思う、ところでシャツなくては私の冬はあまりに残酷なのだからやむをえない、私は洋服を主として用いる、その洋服でもあまりの厚着はいけないそうだが、日本服の不体裁に比して遥かにましだと思う