Classiques japonais avec furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lisez 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) de 徳冨 蘆花 (とくとみろか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 742 caractères · 256 écrans
と母はほとほと煙管をはたきながら
「病気のなかでもこの病気ばかいは恐ろしいもンでな、武どん。卿も知っとるはずじゃが、あの知事の東郷、な、卿がよくけんかをしたあの児の母御な、どうかい、あの母が肺病で死んでの、一昨年の四月じゃったが、その年の暮れに、どうかい、東郷さんもやっぱい肺病で死んで、ええかい、それからあの息子さん――どこかの技師をしとったそうじゃがの――もやっぱい肺病でこのあいだ亡くなッた、な。みいな母御のがうつッたのじゃ。まだこんな話が幾つもあいます。そいでわたしはの、武どん、この病気ばかいは油断がならん、油断をすれば大事じゃと思うッがの」
母は煙管をさしおきて、少し膝をすすめ、黙して聞きおれる武男の横顔をのぞきつつ
「実はの、わたしもこの間から相談したいしたい思っ居い申したが――」
少し言いよどんで、武男の顔しげしげとみつめ、
「浪じゃがの――」
「はあ?」
武男は顔をあげたり。
「浪を――引き取ってもろちゃどうじゃろの?」
「引き取る? どう引き取るのですか」
母は武男の顔より目をはなさず、「実家によ」
「実家に? 実家で養生さすのですか」
「養生もしようがの、とにかく引き取って――」