Classiques japonais avec furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lisez 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) de 徳冨 蘆花 (とくとみろか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 742 caractères · 256 écrans
やや久しゅうして、唇ふるい、嗚咽は食いしばりたる歯を漏れぬ。
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武男は昨日帰れるなり。
五か月前山科の停車場に今この墓標の下に臥す人と相見し彼は、征台の艦中に加藤子爵夫人の書に接して、浪子のすでに世にあらざるを知りつ。昨日帰りし今日は、加藤子爵夫人を訪いて、午過ぐるまでその話に腸を断ち、今ここに来たれるなり。
武男は墓標の前に立ちわれを忘れてやや久しく哭したり。
三年の幻影はかわるがわる涙の狭霧のうちに浮かみつ。新婚の日、伊香保の遊、不動祠畔の誓い、逗子の別墅に別れし夕べ、最後に山科に相見しその日、これらは電光のごとくしだいに心に現われぬ。「早く帰ってちょうだい!」と言いし言は耳にあれど、一たび帰れば彼女はすでにわが家の妻ならず、二たび帰りし今日はすでにこの世の人ならず。
「ああ、浪さん、なぜ死んでしまった!」
われ知らず言いて、涙は新たに泉とわきぬ。
一陣の風頭上を過ぎて、桜の葉はらはらと墓標をうって翻りつ。ふと心づきて武男は涙を押しぬぐいつつ、墓標の下に立ち寄りて、ややしおれたる花立ての花を抜きすて、持て来し白菊をさしはさみ、手ずから落ち葉を掃い、内ポッケットをかい探りて一通の書を取り出でぬ。