Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やまうらきよまろ
山浦清麿
吉川 英治
Lisez 山浦清麿 (やまうらきよまろ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 573 caractères · 91 écrans
夜業の鎚を投げ出して、真雄は、そっと闇へ抜けて行った。
そして、彼女が、やがて悄々と、家路の方へ帰るのを、見届けると、ほっと胸を撫でて、
『馬鹿め! 血の気が多すぎる!』
やり場のない怒りを、彼は、星へ向って罵ったりした。そうかと思うと又、
『――弟よっ。帰って来いっ。ここは山家だ。こんな平和なとこが何処にある。――世間にかまわず、帰って来いっ。母が丈夫でいるうちに、帰って来てくれ。ようっ、弟っ……』
争闘の世間へ、人中へ、とうとうと絶えまなく奔ってゆく千曲川の激流に声を託して、家の前の断崖から、独りでこう、おろおろと、叫んでいる夜もあった。
秋になると――ぱったり、お咲のすがたも、児の泣き声も、しなくなった。
『もしや、煩病っているのじゃないか。ひょっとして、首でも縊って?』
と、そんな不吉まで、案じられて、或る夜、真雄はそっと、環の去った養家の垣の外に潜んでみた。
もう寝しずまった夜更けであったが、月の白い縁先に、お咲は、砧を打っていた。
打っている衣は、嬰児の冬着らしかった。
恋妻は、やがてよき母となってゆく。――だのに、環は、どこにいるのか。