Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やまうらきよまろ
山浦清麿
吉川 英治
Lisez 山浦清麿 (やまうらきよまろ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 573 caractères · 91 écrans
咲き出づる時
一
真雄は、月の下を、黙々と帰って来た。
その年――天保六年
秋もすぎ、雪に交じって、木々の冬葉が舞う空になっても、真雄は、とうとうまだ一作も、刀を鍛ち上げていなかった。
咲き出づる時
一
『内蔵さん。……どうしたのさ。内蔵さんてば。……弱いくせに、飲めもしないお酒を、自暴に飲むんだから、困った人ねえ』
湯女のお寿々は、持て余したように、上り口へ打っ伏したままでいる若い浪人の体から手を離して、呆れ顔に、ただ眺めてしまった。
浪人は、環であった。
ここは、上田の城下に近い別所の温泉場であった。まだ故郷に遠くないので、身を恥じてか、環という名を捨て、別名の内蔵助をもじって、内蔵吉と名乗っていた。
お寿々は、通い湯女で、小さいながら、湯町の裏に、一軒持っている。――去年、家を去って、一先ずここの温泉宿に沈湎していた環は――いや内蔵吉は、その宿でお寿々の世話になったのが縁で――金がなくなった頃からつい女の家へ移っていた。
お寿々は、彼の苦悶を知るよしもない。じっと、沈湎しているかと思えば、ぷいと出て、酔って帰る。
湯町に巣喰う遊び人の仲間に入って、博奕をしているのも知っていたが、それでも男に、愛想が尽きたとは思わないお寿々だった。