Classiques japonais avec furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lisez 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 365 120 caractères · 728 écrans
持たしてやったはずの手紙がどうしてここにあるのだ。これ、一つ忘れたというのか」
ふだんから青鬼の面のように蒼い顔だ。それが、いっそう蒼くなってお高のほうへ向いた。笑っているようにも見える。笑っているように見えるときは、若松屋惣七の激怒しているときだ。
「わたしは、とくに、この手紙を急いでおったのだ。その、いそぎのやつを選びにえらんで、忘れるという法はあるまい。いや、忘れたでは済むまい」
お高は、たたみの上で収縮した。
「はい」
「はい、ではない。はいではわからぬ!」
「はい、あの――」
「ちいっ! はいではわからぬと申すに!」
「――」
「しかも、これ、開封してある」
若松屋惣七は、急に、しずかな口調を取り返した。
「お高、お前、どこか気分でもすぐれぬのではないかな」
すると、お高が、いつになくきっぱりした声をあげたのだ。
「いいえ。ただそのお手紙はわたくしのでございます」
「なに? 何のことだそれは」
「わたくしのでございます」
「この手紙が、か」
「さようでございます。そのお手紙は、わたくしにあてたものでございます」
ほう! ――というように、若松屋惣七の口が、長くなった。