Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lisez 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 333 caractères · 385 écrans

Aozora Bunko

二人はほとんどいっしょに生長したと同じような自分達の過去を振り返った。昔の記憶を語る言葉が互の唇から当時を蘇生らせる便として洩れた。僕は千代子の記憶が、僕よりも遥かに勝れて、細かいところまで鮮やかに行き渡っているのに驚ろいた。彼女は今から四年前、僕が玄関に立ったまま袴の綻を彼女に縫わせた事まで覚えていた。その時彼女の使ったのは木綿糸でなくて絹糸であった事も知っていた。

「あたしあなたの描いてくれた画をまだ持っててよ」

なるほどそう云われて見ると、千代子に画を描いてやった覚があった。けれどもそれは彼女が十二三の時の事で、自分が田口に買って貰った絵具と紙を僕の前へ押しつけて無理矢理に描かせたものである。僕の画道における嗜好は、それから以後今日に至るまで、ついぞ画筆を握った試しがないのでも分るのだから、赤や緑の単純な刺戟が、一通り彼女の眼に映ってしまえば、興味はそこに尽きなければならないはずのものであった。それを保存していると聞いた僕は迷惑そうに苦笑せざるを得なかった。

「見せて上げましょうか」

僕は見ないでもいいと断った。彼女は構わず立ち上がって、自分の室から僕の画を納めた手文庫を持って来た。