Classiques japonais avec furigana
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びしょう
微笑
横光 利一
Lisez 微笑 (びしょう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 911 caractères · 50 écrans
やはり海軍詰めですがね。」
群衆の流れのままに二人は、海軍と理科との二つの襟章をつけたその青年の方へ近づいた。
「あッ、黙っているな。敵愾心を感じたかな。」と栖方は云うと、横を向いた青年の背後を、これもそのまま梶と一緒に過ぎていった。
「もう僕は、憎まれる憎まれる。誰も分ってくれやしない。」と栖方はまた呟いたが、歩調は一層活溌に戞戞と響いた。並んだ梶は栖方の歩調に染ってリズミカルになりながら、割れているのは群衆だけではないと思った。日本で最も優秀な実験室の中核が割れているのだ。
栖方が待たせてあると云った自動車は、渋谷の広場にはいなかった。そこで二人は都電で六本木まで行くことにしたが、栖方は、自動車の番号を梶に告げ、街中で見かけたときはその番号を呼び停めていつでも乗ってくれと云ったりした。電車の中でも栖方は、二十一歳の自分が三十過ぎの下僚を呼びつけにする苦痛を語ってから、こうも云った。
「僕がいま一番尊敬しているのは、僕の使っている三十五の伊豆という下級職工ですよ。これを叱るのは、僕には一番辛いことですが、影では、どうか何を云っても赦して貰いたい、工場の中だから、君を呼び捨てにしないと他のものが、云うことを聞いてはくれない、国のためだと思って、当分は赦してほしいと頼んであるんです。