Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
Lisez 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 193 050 caractères · 383 écrans
わが盗児像
と、ぼくへもお説教みたいな事を云い初めた。
ぼくへのお説教だけなら、なお素直に聞いていられたかもしれないが、古川氏は、腹をゆすぶッて、ぼくの父を嘲い、父のざんそを、さんざんぼくへ云うのであった。そばにいた奥さんさえ、ぼくの涙を見、聞きかねる顔して「もう、およしなさいッてば」と古川氏の袖を引くほど、ぼくの父を、悪しざまに云った。
夢中でぼくは、商品箱を畳んでいた。みんなの眼のまえで、それをどう肩にかついだろうか。まったく今は覚えがない。でも古川氏の奥さんが、あわてて半紙にくるんだ物を、ぼくの手へ握らせたことは覚えている。きっと、なにがしかの金であったろう。けれどそれも無意識に、どこかその辺へ打っ抛って来た。
――後も見ずに、まったく後も見ずというのは、あんな時の事かと思う。ぼくは門の外の石段を駈け下り、まだそれでも足らないように道をいそいでいた。やっと涙の乾いた顔を上げた時は、どこか知らない裏通りに灯がついていた。
わが盗児像
その日限りで、ぼくは行商人を廃めた。知人でもあり富豪でもある人の門に、耐え難いものを持ったのであった。同時に、見ず知らずの他人の垣に立って憐れみを乞うような真似もふるふる嫌になってしまったのであった。