Classiques japonais avec furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lisez 愛のごとく (あいのごとく) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 103 908 caractères · 210 écrans
女たちは、日本人の無力をよく知っているのだ。追いすがるようにバスの両側にまつわりつき、彼女らは米兵に向ってだけ町までのせてくれるようにくりかえし頼みかける。でもバスはスピードをゆるめようとはしない。立ってきた兵士が、ガムを噛んでいる運転手の肩をたたいた。
「おれの女だ、たのむ」
「うそいえ、お前のは町のベッドで待っているじゃないか」
「でもあれもおれの女の一人だ」
「一人か? 女たちはピー・ウォーさわぐからまずい、一人ならいい」
赭ら顔の一等兵の運転手は、二等兵らしい相手にえらそうに答えてやっとバスを停めた。彼は外へおどり出した。
「一人だ、おれを温めてくれるやつ一人だけだ」
海の匂いをまぜたうすい霧がひややかにながれ入った。甘えたり口笛を吹いたりしてざわめく日本人の娘たちを横にならばせ、運転手はガムを吐き棄てると、にやにやして一人一人頤をもちあげて吟味をした。女は五六人いた。「黒の女」の姿はなかった。霧が、ヘッド・ライトの明るみのなかを動いていた。
運転手はいちばん背の高い女をえらんだ。「お前の席はここだ」女は兵士の膝に浅くすわり、腕で首をまいた。
「ハハ!」