Classiques japonais avec furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lisez 愛のごとく (あいのごとく) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 103 908 caractères · 210 écrans
それらは彼という単独な密室をつつむ外殻への刺戟、外殻をきたえる季節の風雨にすぎないのだ。彼には外殻をかたくすることだけが仕事だった。彼は反感をもつ自分のその感覚を消すことで、反感をなくそうと努力していた。そんななかば意識的な無感覚が、外界に、そして外界への無力に慣れさせる結果をまねいていた。ただ、慣れるために自分がひとりだけの部屋をつくったのか、その逆かは、彼にもよく理解できなかった。そんなことはどうでもよかった。彼は貝殻にとじこもる貝のように、なにかを回避することを覚えはじめていた。
ボーイや売笑婦たちから煙草を売りつけられたことが、信二に、そのブローカーを思いつかせていた。それなら兵隊たちと直接に取引きをしたほうが利潤が出る。彼は安達と組み、それを売る方にまわった。一カートンにして三百円の利益、一晩に三カートンを持ち出すのはわけなかった。
「お前、煙草でそうとう儲けているらしいな」ある日、兄がいった。彼はだまっていた。煙草はボストン・バッグに移したまま、教科書などといっしょに床の間の隅に置いてあった。
「なにに使うつもりだ」と、兄はいった。
「さあね」