Classiques japonais avec furigana
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いととりぬま
文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
長谷川 時雨
Lisez 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会 (いととりぬま) de 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 080 caractères · 5 écrans
人魂火
これは私の父が、幼いころの気味の悪るかったことという、談話のおりにききましたことです。場処は通油町でした。祖母が目をかけてやっていた、母子二人世帯の者が、祖母の家の塀外に住んでいた、その息子の方のことです。母親という人は後家で通して来たので、名代の気丈なものだったそうですが、ある夜、もうかれこれ更けて、夏の夜でしたが、涼み台もしまおうという時分に、その後家の家の軒前へ人魂がたしかに見えたと、近所の者が騒ぎだしたのです。私の父も見たともうしました。するとその母親が、息子が留守だと思って馬鹿にすると、大変家のなかから怒ったそうで御座いました。それでその折は過てしまったのでしたが、翌朝になると祖母の処へ、その母親が顔色をかえてきて言うには、昨夜あれから間もなく、外で大変な風の音がしたと思うと、仏壇の位牌もなにもかも、みんな倒れました、それがいちどきにでしたから気になって、夜の明けるのを待兼てそこらを見ますと、息子の大切にしていた鉢植――盆栽ものが、みんな倒ている。そればかりならまだしも、大きな音がして戸へもののぶつかった窓から、仏壇へゆく途のものは、なにもかもみんな倒れているというので、母親は息子の帰らないのを、大変気にして祖母のところへ来たのですが、息子はいつも夜どまりをしつけているので、まさかとは頼みに