Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lisez 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 454 caractères · 357 écrans

Aozora Bunko

」

姉は、その医王山の麓というのは、戸室山にはさまれた小さい村であることを言添えながら、

「そのお山開きについて面白い話があるんです。城下の古い木薬屋で、丁字屋というのがあるでしょう。あそこの家も毎年お山詣りに行んだそうです――ある年の春、例年のようにみんなで、あの大池のふちで、持って行った重箱を開いたり酒を飲んだりしているうちに、その一行にいた娘さんのお蝶が急に見えなくなったのです。そのため皆は大騒ぎをして捜してみたけれど、更にわからない。谿合いや雑林の奥なぞにもいない。とうとうその日も暮れたので、皆はその晩麓の村のお寺に泊って、翌日も捜し廻ったのだが、何処にもそれらしい影すら見えなかった。」

姉は更に話し続けました。

「父親はある晩、更けてからそっと娘の室を窺っていたのです。露がやや木の葉の上に光るようなころになると、娘の室の障子が、すうとひとりでに開かれました。ふしぎなこともあるものだと、よく気をつけてみると、紛うかたもない娘が半身を障子のそとへあらわし、庭を覗いてみましたが、きゅうに音もなく庭へ下り立ったのです。しかも素足のままです。ああいうからだをして能く歩かれたものだと思える位でした。