Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しゃよう
斜陽
Lisez 斜陽 (しゃよう) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 822 caractères · 176 écrans
私は笑わず、黙って、お母さまのお椅子のうしろに立った。
しばらくしてお母さまが、
「なんでもない事だったのね。燃やすための薪だもの」
とおっしゃった。
私は急に楽しくなって、ふふんと笑った。機にかないて語る言は銀の彫刻物に金の林檎を嵌めたるが如し、という聖書の箴言を思い出し、こんな優しいお母さまを持っている自分の幸福を、つくづく神さまに感謝した。ゆうべの事は、ゆうべの事。もうくよくよすまい、と思って、私は支那間の硝子戸越しに、朝の伊豆の海を眺め、いつまでもお母さまのうしろに立っていて、おしまいにはお母さまのしずかな呼吸と私の呼吸がぴったり合ってしまった。
朝のお食事を軽くすましてから、私は、焼けた薪の山の整理にとりかかっていると、この村でたった一軒の宿屋のおかみさんであるお咲さんが、
「どうしたのよ? どうしたのよ? いま、私、はじめて聞いて、まあ、ゆうべは、いったい、どうしたのよ?」
と言いながら庭の枝折戸から小走りに走ってやって来られて、そうしてその眼には、涙が光っていた。
「すみません」
と私は小声でわびた。
「すみませんも何も。それよりも、お嬢さん、警察のほうは?」