Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 353 caractères · 371 écrans
山中人
凡物とはあべこべな非凡であった。
それも偽者でないことだ。非凡、恬淡の士は、何も天下とまでいわなくても、織田家にだけでも尠なくないが、すぐ剥げやすい君子ばかりだから、使うとなっては、その使う道に困る。
山中人
そう高い山ではない。一名を岡ヶ鼻というのでもおよそ知れよう。
その栗原山は、南宮山のつづきで、親に倚り添う子のような形をしていた。
頂の近くまで来て、
「ああ、美しい」
詩人でない藤吉郎も、思わず恍惚として、落日の荘厳に打たれていた。――つるべ落しという秋の陽が、もう暮れかけて来たのである。
――余談にわたるが。
後年、関ヶ原の役の折には、この南宮山には毛利の軍勢が陣し、栗原山には長束正家、山下には長曾我部盛親と、いずれも西軍方が布陣して、家康の東軍を窺ったものであったが、一たび石田三成の主隊の潰乱から、いちどに鬨を揚げて敗走している。豊家にとって恨み多き古戦場の一つになっている。
今。若い藤吉郎は、そこに立っているけれど、自分の死後、ここに豊家の瓦解を早めた関ヶ原役の陣が布かれようなどと、神ならぬ身、どうして思ってもみよう。
青野ヶ原の彼方、美濃近江の山々の陰へと――荘美な夕雲の彩だけを残して、刻々、沈んでゆく落日の大悲光こそ、さながら、やがて大坂城に、雄図の多恨と身辺の情恨を遺して、人寿の命ずるところ