Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 903 caractères · 400 écrans

Aozora Bunko

さて、会の後。

もちろんその晩は、みな威徳院の房に泊まったのであるが、部屋数も少ないので、紹巴は光秀の寝室のすぐ隣に眠った。

夏の夜ではあり、心やすい歌の友というので、境のふすまも払ってある。紹巴は枕につく前に、

「山上は蚊もいませんから、今夜は快く眠れましょう。どうも都は蚊が多くて……」

などと問わず語りをしていた。

寺僧が燭を消して退がると、光秀はすぐ寝入っていたように思われた。紹巴のつぶやきにも何の返辞も返さずに――。

枕に顔をあてがうと、戸外の山風は樹々を揺すり、屋の棟を吠えめぐって、さながら天狗の喊の声かと怪しまれてくる。光秀は火神の拝殿で聞いた神官の話がふと思い出されて、漆黒の宇宙に跳梁する天狗の姿を脳裡に描いていた。

天狗が火を咥えて飛ぶ。

大天狗、小天狗、無数の天狗がみな火となって、黒風に翔けまわり、その火が落ちて、火神の御社が、忽ちまた団々たる炬火となる。

――眠りたいものだ。眠ろう。

光秀は思う。彼は夢見ているわけではない。にもかかわらず脳膜はそんな幻想を描いてやまないのである。

寝返りを打つ。

そして、今日はと考える。明ければ二十九日と意識する。