Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 903 caractères · 400 écrans
おぬしのむかしの友松野平介はそんな男ではない。一たん流浪なすべき身を信長公に拾われ、今日ある御恩を、何で弊履のごとく捨てられようか。武門とはこうしたものだ。見よ、おれのさいご」
だっと、真っ直ぐに駈け出して来た。そして利三のそばまで、達しないうちに、むらがる敵刃と渡り合って、血けむる中に壮烈な戦死をとげた。
「惜しい。実に惜しい男を」
と、利三にも光秀にも、後までしきりに惜しまれたが、その松野平介も、もし利三に誘われて、明智の陣門に降伏しても、そのいのちはやはり後十日のものでしかなかったであろう。なぜならば、明智そのものが十日の後には亡んでいるからである。
洛中はよく落首が立つ。殊にこんな騒乱のあとに宣伝される。奇蹟的に助かって逃げた織田源五郎長益だの、古井戸で犬死した鎌田新介などは悪しざまに謳い囃された。
その中で、たれか妙覚寺の土塀に、こんな今様めいたのを書いたのがあった。
いのちよく持て
いつくしめ
花とかおって散る日には
さっときれいで
あるように
又学舎
朝の一ときは、夜のままみな戸をおろして、死の街かのように、ひっそりしていた洛内の市民も、やがて午近くには、いちどに往来へ出はじめて、大路小路の辻々には、かならず人が群れているし、常には人通り少ない道筋まで、日頃の十倍もぞろぞろと人が流れてゆく。