Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 187 757 caractères · 375 écrans
心耳と機眼
四六時中、決戦機の寸前を、いッぱいに孕みながら、相互ともに、本格的なうごきを示すなく、数日は過ぎたのである。
その間に、滝川一益は、秀吉の本陣地、矢田山の情況を充分に偵知し得たものの如く、城中の首脳部を会して、“或る作戦”のふくみを湛えていた。
秀吉もまた、直ちにそれを、察知したものの如く、前線の尖角陣地から山麓の要所へわたって、壕を掘らせ、柵を結わせ、かつ、
「こよいから陣々には、夜どおし篝を絶やすな」
と、令した。
城兵の動かんとする気配を――必ず大挙して大夜襲に出てくるもの――と予感しての先手を打ったものだった。
果たせるかな滝川勢は、翌晩、城中の精鋭数千を七手に分けて、一手は城の北門を出て市街、一手は西路へ出、これは常の如き小奇襲を行うものと見せながら、他の大部隊は、黒々と搦手から市外を遠く迂回して、全軍枚を銜み、必殺の意気をこらしつつ、矢田山の敵本営へ向って進んでいた。
「――や。待て」
一益は、突として、鞍の上から声を発した。
「待て。兵を止めろ」
流るるが如き列の中にありながら、彼は馬首をめぐらして阻めていた。
前後にある幕僚たちの影は、何事やらん? ――と疑うように、彼に倣って駒を止めたが、前隊はなお知らないで先へ進んでいた。