Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 180 256 caractères · 361 écrans

Aozora Bunko

戦争を離れては、生活がなかった。

「……ウウム、始まっている」

草間隠れに、日吉は遠くからそれを眺めながら、大きく呻いた。

河原の向う岸に、堤の蔭から上の草原にかけて、織田家の定紋のついた陣幕がめぐらしてある。三、四ヵ所のお小屋からお小屋へかけて、その幕は翩翻と風を孕んでいるので、無数の兵たちは見えるが、信長のすがたは生憎と見えない。

眼を転じると――

幕とお小屋は、此方の岸にもあった。馬匹がさかんに嘶いている。

わあッ――うわあッ――

という武者押しの声は、その両岸から起って、川波を呼び立てているのだった。日吉が、立ち止った時、一頭の放れ駒が河の中ほどからザブザブと駈け狂って、下流の陸へ跳ね上がって行った。

「これが、水泳のお稽古か」

日吉は、頷けなかった。

世評というものは、たいがい好い加減なものである。信長を、暗愚の殿だの、粗暴なうつけ者だのといっても、では誰がそれをつき止めたかといえば、誰も真を追って突き止めてはいないのである。

毎年四月頃から九月にかけて、川狩や水泳の稽古に城を出ることは誰でも見ているが、それだけを知っているに過ぎなかった。