Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 180 256 caractères · 361 écrans

Aozora Bunko

信長は、馬の口へ手を突っこんで、馬の舌をつかんだ。

「卯月め、きょうは悪い舌をしておるな。これでは脚の重いはずじゃ」

「風邪ぎみのようでございます」

「卯月も、老いて来たか」

「大殿のおかたみでございますから、はや馬齢もだいぶ」

「馬齢か。なるほど、那古屋の城には、卯月ばかりか、馬齢のみ取ってゆく老いぼれどもの何と多いことじゃ。いったいに今の時勢が馬齢の世の末じゃ。十幾代にわたる室町将軍家を始め、規律ずくめ、儀礼ずくめ、嘘ずくめ。腐っている。老ぼれておる!」

誰にいうのでもない。天へ怒るように独り語に云い、そしてぱっと、鞍へあがって、袴を割ると、

「風邪ひき馬を、ひと鞭、汗とりしてくれよう」

と、馬場を駈け始めた。

騎馬の上手は、天稟だった。市川大介が師範であったが、近頃は独り乗りこなして、むしろ大介を後に見ていた。

若い元気いっぱいな信長にたたかれると、卯月はやがて、汗にぬれて来た。――と、彼の駒を、恐ろしい脚速で、鮮やかに追い抜いて行った一頭の黒鹿毛があった。

不意に、自分の駒へ、後塵を浴びせて追い抜いて行った黒鹿毛を見ると、信長は、

「あッ、五郎左め!」