Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 180 256 caractères · 361 écrans

Aozora Bunko

いちど黙って、おえつと共に、てくてく歩み続けていたが、また、

「明国って、どこさ。明国って――」

と、今の聞きかじりを思い出して、出しぬけに訊ねた。

「唐のことでしょ」

おえつは簡単にいったが、日吉がたてつづけに、

「どっちの方?」

だの、

「どれくらいな広さ?」

だの、

「明国にも、城があって、侍がいて、戦をするか」

だのと訊き出すので、

「ま、うるさい。少しは黙って歩くもんですよ」

と、おえつは袂を振った。

だが、この叔母さんの叱言ぐらいは、そよ風ともひびかない。日吉はぐんと首を仰向けて、頻りに青空をながめていた。

彼は、ふしぎでふしぎで堪らなかった。どうして空はあんなに蒼くて深いのか。なぜ人間は地面ばかりにいるのか。もし人間が鳥みたいに翔けられたら、香炉の絵で見た明国へも、一足飛びに行かれるだろうに。

だから香炉の絵でみても、鳥のかっこうは尾張の国の鳥とちっとも変っていない。人間の着物も、船の型も変っているけれど、鳥は同じだ。鳥には国がない。いや天地がみんな一つ国だ。

「見たいなあ、方々の国を」

彼には、これから連れて帰されるわが家の狭さや、貧乏などは頭の隅っこにもなかった。