Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

夾竹桃の花が海面の朝日を受けて咲き崩れている間を、よく肥えた紳士が敷島を一本口に喰わえ、煙をぱッぱと吐き流して歩いているのを見て、矢代は瞬間眼の醒めるようなショックを受けた。淡路島らしい島が薄霧の上に煙って幽かに顕れて来る。雄松の幹のうねりが強く車窓に流れていった。日本の朝の日の光りを矢代は初めて見たのである。彼は車窓から乗り出すようにして、一見したところ、自分の国は世界で一番無頓着そうににこにこした、幸福そうな国だと思った。そのうちにシベリヤ以来すっかり忘れていた合服が夏の日にだんだん暑くなって来た。

いつも矢代の旅は目的地へ着くころになると夜が来た。東京駅へ近づいて来たときもそうだった。故郷へ帰りついたと思う気持ちは、山陽線から東海道を上って来る車中の憶いの中に吸われてしまい、今は身心とも彼は疲れ果てていた。物音らしいものは耳鳴りで聞えず、かすめ通る灯火の綾の間に見えたホームの荷造の藁束が、いよいよ身近なものの匂いを伝えて迫って来る。継ぎはぎだらけの襯衣を着せられても苦にならぬ、里帰りの子のように疲れが気持ち良かった。

汽車が停って矢代はホームへ降りた。