Classiques japonais avec furigana
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はんぎゃく
日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)
矢田 津世子
Lisez 日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三) (はんぎゃく) de 矢田 津世子 (やだつせこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 512 caractères · 34 écrans
3
沢木教父が本部の指令で中央都市の或る聖公会へ栄転したのは、お松にとって悲嘆の極だった。が、彼女の悲しみは、新規な神様の移転して来ると同時に消え去った。此神様は四年程御座に就ていられたが、やがて信者の中の美しい人妻と手に手をとって雲がくれしてしまった。若い小野牧師がきたのは遂一年前だった。彼は、神様のお命じ給う所に依って、お松親子を扶養した。何よりもまず古い正会員達の機嫌を損じる事が彼には恐ろしかったから……。教会で絶対権力のあるのは古い信者達である。教会の維持費牧師の生活費は彼等の掌中にあるのだ。だから信者達がお松に親しんでいれば、牧師としても彼等の申出でを快く承諾しなければならない。小野牧師は信者達の間に確実に信頼を得た。白痴の娘は妹の様に可愛がられた。お松は只管身の幸福を神様に感謝しなければならなかった。
3
「おっ母ア、上がってもいいか?」
台所口からのっそりと肩の広い男が首をのばした。
「おや、欽じゃないか、暫くこなかったねえ、どうしたんだともって心配してたよ」
「うん、こられなかったんだ、それに――」
二タ月目の息子の来訪だった。お松はそわそわとそこいらを片付け始めた。