Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lisez 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) de 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 158 045 caractères · 322 écrans
「ほう、観音様だな。」
傍から首を出した妹を見てお世辞をつぎたした。
「イヨウ、綺麗になりやがあったな、弁天様だぞ。」
酒をもひとつというように口をあけた。そして露を吸うように、垂らされる雫が舌のさきに辷ると、
――富士の、白さけ……
と幽な幽な声で転がすように唄った。正しく生ているおりなら、笑みくずれるほどに笑ったのであろう。唇をパクリとした。
でも臨終ではない。ああ結構な、いい往生ですいい往生ですと寄って来たものはポカンとして当惑した顔をした。
私の心は暗かった。長い一生、一念を封じこめた硫黄山に心を残しているのではあるまいかと。
「老爺さん、硫黄鉱山が売れましたよ。」
「ほ。」
パッと、死んだ瞳に瞬間灯がともった。手を差出した。そこらにあった重いものを掴んだ手を私は老爺さんの手に触れさせた。
「有難い――みんなにやってくれ。」
私はほほえましくお伽噺のように言った。
「老爺さんの黄金の像を建ててあげましょう。」
「ほ。」
満足な瞑目だった。
厳粛にしゃちこばった人たちの方がすぐに悪口した。欲ばっていると――
私にはそう思えなかった。
初秋の風に竹がサラサラ鳴る暁、柩は出てゆくのだった。