Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひるのはなび
昼の花火
山川 方夫
Lisez 昼の花火 (ひるのはなび) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 030 caractères · 15 écrans
光をたたえた巨大な泉に似た青空。鋭い雷声を合図に、白い雲ひとつないその天空に打ち揚げられ、細かな白金の矢をきらめかせ茶褐色の煙をただよわせて、透明な、はてしない大空の滴るような紺青のなかに溶け、音もなく消えて行く花火。昼の花火。いま、現に見ているのも野球ではない。女との、そして自分だけの、真昼のその花火なのにすぎない。
女が、また拍手をはじめた。野球に、慣れてきたのだろうか。
放心したようなその目が、じっと前をみつめている。
「……どこ見てるの」
軽くいった。
「森。森を見てるの」
すぐ答えた。
はっと、彼はわかるような気がした。女の瞳には、それまでは焦点がなかったのだ。いま、もしかすると二人は、同じものを見ていたのかもしれない。
女は拍手を止めなかった。それは、いやに間のびした拍手だった。
女にならって、はるかな森の青葉に、彼も拍手をはじめていた。
遠く、森のやわらかく膨らんだ葉末が、波を打つように動いている。風が渡るようだ。緑の枝を繋げていた外苑の木立の、ざわめいて嫩葉がきらきらと氾れるように一面に光るさまを、彼は目に浮かべた。若い夏の、みずみずしい新緑の光だけを、彼はみつめていた。