Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans
「そのなあちゃんが何処へか行ってしまったのよ」と、お粂は少し小声で云った。
かれの訴えによると、お直のなあちゃんは行方不明になったというのである。お直はことし十三で、手習い師匠山村小左衛門へも通っていた。山村は甲州屋から三町あまり距れているところに古く住んで、常に八九十から百人あまりの弟子を教えていて、書流は江戸時代に最も多い溝口流であった。手習い一方でなく、十露盤も教えていたが、人物も手堅く、教授もなかなか親切であるというので、親たちのあいだには評判がよかった。しかし弟子のしつけ方がすこぶる厳しい方で、かの寺小屋の芝居でもみる涎くりのように、水を持って立たされる手習い子が毎日幾人もあった。少し怠けると、すぐ大叱言のかみなりが頭の上に落ちかかって来るので、いわゆる「雷師匠」として弟子たちにひどく恐れられていた。
手習い子は手ならい草紙で習って、ときどきに清書草紙に書くのであるが、そのなかでも正月の書初めと、七月の七夕祭りとが、一年に二度の大清書というので、正月には別に半紙にかいて、稽古場の鴨居に貼りつける。大きい子どもは唐紙や白紙に書くのもある。