Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans
一応ことわっておけば仔細はないので、半七はつかつかと奥へ入り込んだ。大勢がじろじろと視ているなかを通って、四畳半の死骸のそばへ立ち寄ったが、其月の方はもうあらためる要はない。半七はお葉の死骸の左手をとって、その小指をよく視ると、小さい膏薬が湿れたままで付いていた。そっと剥がしてみると、なにか刃物で切ったらしい疵のあとが薄く残っていたが、それはもう五、六日以上を経過したものらしく、疵口も大抵かわいて癒合していた。この疵はゆうべの事件に関係のないことが十分に判って、半七は失望した。
かれは更に其蝶の指の疵をあらためたいと思ったが、満座のなかではどうも都合がわるいので、再びかれを眼でまねいて、半七は台所の外に出た。そこの狭い空地には井戸があった。
「どうも宗匠は飛んだことだったが、なにか心当りはありませんかえ」と、半七は車井戸の柱によりかかりながら先ず訊いた。
「どうもわかりません」と、其蝶はひくい溜息をついた。
「ここの家のことはお前さんが一番よく知っているということだが、宗匠は人に遺恨をうけるようなことでもありますかえ」
「そんな心当りはございません」
「このごろに何処へか金魚を売り込んだことがありますかえ」