Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans
半七は砂場の店に腰をかけて煙草を吸っていると、一人の小僧が暖簾をくぐってはいってきた。彼は天ぷら蕎麦をあつらえて、同じく腰をかけた。どうも見たような小僧だと、半七は顔をそむけながら、横眼で睨むと、彼は鍋久の店の小僧であった。彼はやがて運んで来た天ぷら蕎麦を食ってしまって、更にあられ蕎麦を註文した。それを又食ってしまうまで半七は気長に待っていると、小僧は銭を払って出た。
半七もつづいて暖簾を出て、うしろから声をかけた。
「おい、小僧さん。鍋久の小僧さん」
不意に呼ばれて、小僧はびっくりしたように立ちどまると、半七はすぐに其の手を据えた。
「おい、おれの顔を忘れたか。この間おれたちに茶を持って来たのはお前だろう」
小僧も思い出したように、無言で半七の顔を見あげていた。
「おまえの名はなんというのだ」
「宇吉といいます」
「むむ、宇吉か。お前はなかなか景気がいいな。お店者の小僧のくせに、蕎麦屋へ来て天ぷらに霰とは、ばかに贅沢をきめるじゃあねえか。その銭はだれに貰った。それとも盗んだのか、くすねたのか。はっきり云え」
宇吉は黙っていた。
「さあ、正直に云え。ぐずぐずしていると、番屋へ引き摺って行って引っぱたくぞ」