Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

つきのまつやま

月の松山

山本 周五郎

Lisez 月の松山 (つきのまつやま) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 451 caractères · 41 écrans

Aozora Bunko

坂を登りつめた孝也は、道から松林の中へ入ってゆき、枯草の上へ腰をおろした。そこは北向きなので枯草の根にもまだ青みはみえない、前方はなだらかな斜面になっており、低くなってゆく松林の向うに栂ノ庄村の一部と、小高い丘の上にある茂庭家の築地塀が、白く、城館のように堂々と眺められた。孝也は立てた膝頭に肱をつき、両手で顔を掩った。

「百日――」と彼は呻いた、「百日か」

松の梢で小鳥が鳴き騒いだ。顔を掩った両手の指が(苦悶のため)鈎のように曲り、やがて嗚咽の声がもれた。それはぞっとするほど絶望的で、圧しひしがれるような響きをもっていた。

約半刻ほどのち、茂庭家へ帰った孝也には、いつもと変ったようすはなかった。

茂庭邸は栂ノ庄村の北端の台地の上にある。石段を登ると古い長屋門で、門を入ったところに巨きな老杉が二本、広い前庭と屋敷ぜんたいを圧するように高く梢をぬき、逞しく枝を伸ばしている。武家造りの母屋と、それに続く道場は茅葺きで、門人や召使たちの住む長屋は葺きであった。

「お帰りなさい」

孝也の姿を認めて、道場の臆病口から西秋泰二郎が出て来た。稽古着のままだし、木剣を持って、おもながの眉の濃い顔に、活き活きと血が浮いていた。