Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

げつめい

月明

豊島 与志雄

Lisez 月明 (げつめい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 772 caractères · 34 écrans

Aozora Bunko

波の音が消えて、しいんとした蒼白い明るさだった。透明な深い水底ででもあるかのよう……円い月がぎらぎら輝いて見えた。

彼は足を早めて俊子に追い縋ろうとした。途端に、鉛色の月の光りが彼女の髪をすっと滑り落ちて、振り向いたその顔が、真白な歯並と真黒な瞳とを投げ出して、にっこと微笑んだ。瞬くまも許さない咄嗟だった。

ぞっとした。ぶるぶると身体が震えた……とまでは覚えていたが、あとはただしいんとなった。

「静夫さん!」

胸にしみ通るような細い声が聞えたので、彼はふと眼を見開いた。嵩高な女神の端正さを持った俊子の上半身が、降り濺ぐ月の光りの中に浮んでいた。……と思うと、心持ち左に傾いたその顔が、ぼやぼやとくずれた。

彼女の腕の中に在る自分自身を、彼は全身で感じた。細かな震えが背筋を流れて、歔欷と涙とがこみ上げてきた。……が、

「どうしたの。」

彼女の声は澄みきって響いた。

それでまたぞっとした。いきなりその腕を払いのけて、砂浜の上を駆け出した。後から彼女が追っかけてきた。息がつけなかった。砂の上にどっかと坐って、眼をつぶった。

「静夫さん!」

柔かな手を肩に感じた時、彼は初めて我に返った心地がした。