Classiques japonais avec furigana
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みいらのみみかざり
木乃伊の耳飾
国枝 史郎
Lisez 木乃伊の耳飾 (みいらのみみかざり) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 905 caractères · 12 écrans
ギゼーの町は小さくはあるが、街の中央の道路には、軽快な電車も通っているし、小綺麗な旅館も櫛比しているし、椰子の樹蔭も諸所にあって、金字塔見物の遊覧客に、気に入られそうな町である。町の住民の過半数は、伊太利人と希臘人とで、その他では土耳古人が多かった。勿論頭にターバンを巻いた体の逞しい亜剌比亜人や、煤煙のような顔色のヌビア人や、赤い袍を着た猶太人や、印度、アルメニア、コプト等の、諸国の人種が集まってはいたが、数は極めて尠なかった。
折柄恰度日没時で、沙漠に沈む初夏の陽の紅い光に輝らされて、カッと明るい街の中を、人種の異ったそれらの人が忙がしそうに歩いている。この忙がしい日没時を、一人悠々と歩いているのは、考古学者のドイルス氏だけで、博士は葉巻をふかしながら、道で拾った蜥蜴の化石を、倦かず何時迄も眺めつつ遅々として歩いているのであった。
「こいつは一杯食わされたかな」
突然博士は呟いたが、蜥蜴の化石を投げすてた。
「化石に模した粘土細工とは誰でも鳥渡気がつくまい」博士は可笑しさに微笑して、捨てた模造品を見返えりもせず、先へ悠々と歩いて行く。斯うして町の外れまで、即、沙漠の入口まで、歩いて来た時立ち止まって、博士は行手を眺めてみた。