Classiques japonais avec furigana
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きそがわ
木曾川
北原 白秋
Lisez 木曾川 (きそがわ) de 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 659 caractères · 52 écrans
なるべく上流へ出て迂回しようと思ったのである。
ストップ! 古井の白い鉄橋の上で、私は驚いて自動車を飛び降りた。その相迫った峡谷の翠の深さ、水の碧くて豊かさ。何とまた鬱蒼として幽邃な下手の一つ小島の風致であろう。煙霧は模糊として、島の向うの合流点の明るく広い水面を去来し、濡れに濡れた高瀬舟は墨絵の中の蓑と笠との舟人に操られてすべって行く。
私たちがその青柳橋の上に立っていると、何が珍しいのかぞろぞろと年寄や子供たちが周囲にたかって来た。この川はと聞くと飛騨川と誰か答えた。高山の上の水源地から流れて来てこの古井で初めて木曾川に入るのだとまた一人が傍から教えてくれた。じゃあ、あの広いのが木曾川だなと思えて来た。
「あの島にお堂が見えますが、あれは何様ですね」
「小山観音」
「縁日でもありますか」
「ちょうど七月の九日が御開帳でして、へえ、毎年です」
「店も出ましょうね」
「ええ、河原は見世屋でそれはもういっぱいになりますで」
水に映って、それは閑雅な灯のちらちらであろうと思えた、この支流である飛騨川の峡谷はまた本流の蘇川峡とは別趣の気韻をもって私に迫った。上手の眺めにもうち禿た岩石層は少く、すべてが微光をひそめた巒色の丘陵であった。