Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

Lisez 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 300 caractères · 202 écrans

Aozora Bunko

「可哀そうなおもんちゃん」

火桶の火を埋めながら、おせんはそっとこう呟いた。片町へかかる道で会ったときは、ひと眼でそれとわかる姿のいやらしさに、ただ反感を唆られるばかりだった。あの火事のあと貧しい娘や女房たちまでが、そんなしょうばいをして稼ぐという評判は、よく聞いた。天王町の裏にひとところ、三軒町から田原町のあたりに幾ところとか、そういう人たちの寄り場があり、表向きは駄菓子を売ったり、花屋のようなていさいで客を取るのだという。聞くだけでも、耳が汚れるような思いだった。あんなに仲の良かったおもんが、そういう女のひとりになったと知ったときは、哀れむよりさきに厭らしさと怒りで震えるような気持だったが、今夜のようすではよほど困っているらしい、それこそ食う物にも不自由らしいことがわかり、そこまで身を堕としても運のない者にはいいことがないのかと、自分のことは忘れていたましく思うのであった。

――可哀そうなおもんちゃん。

元旦は朝から曇っていた。雑煮を祝ったあと、おせんは幸太郎を背負って、産土神の御蔵前八幡へおまいりをし、それから俗に「おにやらい」という修正会を見に浅草寺へまわった。