Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lisez 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 300 caractères · 202 écrans
後篇
一
明くる朝、子供を負って洗濯物を干していると、庄吉が来た。彼は歪んだ皮肉な顔つきで、道のほうからこっちを眺めていた。
それからそばへ寄って来た。――おせんはできるだけのちからで微笑し、相手の眼をみつめながら吃り吃り云った。
「ごめんなさい、庄さん、あたしゆうべ、捨てにいったのよ」
「――でもそこに負ってるね」
「いちど捨てたんだけれど、可哀そうで、とてもだめだったの、庄さんだって、とても出来ないと思うわ」
「――わかったよ、証拠をみればいいんだ」
「ねえ、あたしを信じて」おせんは泣くまいとつとめながら云った、「――本当のことはいつかわかる筈よ、あたし待ってるわ」
庄吉はなにも云わずに踵を返した。くるっと向き直って道のほうへ歩きだした、おせんはふるえながらそのうしろへ呼びかけた。
「庄さん、あたし待っててよ」
しかし彼は振向きもせずに去っていった。
後篇
一
十二月にはいると間もなく幸太郎が麻疹にかかった。その十日ほどまえから鳥越のほうに、疱瘡がはやると聞いたので、御蔵前にある佐野正の店へ仕事のために往き来するおせんはそのほうを心配していたし、病みだした初めのうちもてっきり疱瘡だろうと思ったのであるが、五日めになって医者が発疹のもようをみたうえたぶん麻疹だろうと云い、そのとおりの経過をとりだしたのでいちおう安心した。