Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

Lisez 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 300 caractères · 202 écrans

Aozora Bunko

……毎日かよい続けて七日めかの昏れ方のことだ、いつものように山形屋のまわりを歩いていると、寺町のほうから来る庄吉に出会った。法事にでもいって来たものか、無地の紋の付いた着物で袴をはいていた、そばに若い女がいっしょだった、まだ、むすめむすめした、小柄の愛くるしい顔だちで、眉の剃跡の青いのがいかにも初妻という感じである。おそらくそれが加代というひとであろう。庄吉になにか云って微笑するのを、おせんははっきりと見た。匂やかに、ややなまめいた微笑であった、柔らかそうな唇のあいだから黒く染めた歯のちらと覗くのを、おせんは痛いほどはっきりと見たのである。――二人はおせんの前を通っていった、庄吉は眼も動かさなかった、そこにいるのが木か石ででもあるように、まったく無関心に通りすぎ、やがて山形屋の格子戸の中へはいっていった。

「――庄さん、……庄さん」

おせんは口のなかでそっと呟いた。それからふらふらと寺町のほうへ歩きだした、――苦しい、頭が灼かれるようである、非常に重い物で前後から胸を圧しつぶされそうだ。

「――庄さん、……庄さん」

とつぜんおせんは立停って、道のまん中へ跼んで嘔吐した。