Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lisez 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 169 810 caractères · 345 écrans
その時宇治は既に一間ほどの近さに寄っていた。女は宇治から背後の高城に視線をうつした。あっ、と声を立てて片手を入口の柱にもたせかけた。大きな瞳を更に見開いて、頬の黒子がなまなましく宇治の眼にうつった。宇治は激しく問いかけた。
「花田中尉はどこだ?」
女は眼を見開いたままあえいだ。声にならなかった。あの夜窓から覗いた一瞬の容貌に比べれば、幾分やせて荒んで見えるのを宇治ははっきり瞳に収めていた。油気の無い髪が風のために乱れる。よろめきながら女は入口から一歩外に踏み出した。
「花田中尉はどこにいるんだ」
宇治は少し落着いた声になって、再びくりかえした。女の柱を掴んだ手がわなわなとふるえている。女の眼は宇治の肩を越え、河の方に見開かれているのだ。花田中尉は何処に居るのか。女の身体が激しくそれを言っている。そう感じると宇治はぎょっとして振りむいた。
薄暗い磧の方から今まで水浴をして居たらしく手拭いで身体を拭きながら歩いて来る男が居る。上半身は裸だが将校洋袴を穿いた半身は、暗がりにそれと判るほどびっこを引いて居るのだ。まだこちらに気がつかないらしく、指に手拭いを巻いて耳の穴を拭きながら磧をのぼって来る。